愛知/豊浜郵便局

(確認前のデータ)
・鯛まつりを描き、貝塚の貝と荒磯の松を配す
使用開始:1972(昭和47)年11月10日
知多郡南知多町です。
「鯛まつり」は7月中旬の土日に開催される祭りで、竹と木の骨格に白木綿を巻いて作った大きな鯛が練り歩くそうです。意匠に描かれているのは鯛を担いだ人々が海に入っているところでしょうか。この鯛、実物がなかなかかわいかったです。写真は↓こちらにありました。
・豊浜鯛まつり1日目- ジャパンナビ・知多半島ナビ
意匠の前面に描かれた「貝塚の貝」が謎です。ひょうたんのような形のモニュメント? に「貝塚」と書かれていますが、これの実物はどこにあるんだろうか。検索したところ南知多町内には貝塚が4ヶ所ぐらいあるのですが、いずれも豊浜からは離れてるんですよね。
これはどこの貝塚を指しているのか、質問してみました。
お返事です。
豊浜局「豊浜地区にある『貝がら公園』だと思います。」
久々に、新たな謎の単語が提示されました。「貝がら公園」とは?
早速検索してみたら、貝塚とは関係ないB級スポット的なものが出てきたのですが、それが何だか興味深かったので、まずは以下のリンク先をご覧ください。
簡単にまとめると、これは昭和の中頃に地元の個人(父と息子)が山の上に20年ぐらいかけて作った小さな公園で、園内に作られたコンクリート製の構造物がことごとく無数の貝殻でデコレーションされており異様な景観を呈している、というものです。風景印に描かれたひょうたん型のオブジェもその中の一つで、それもリンク先に写真がありました。(ツブツブ系、いわゆる蓮コラの類が苦手な方はご注意ください)
・親子が貝で作った知多半島のシュバル理想宮「貝がら公園」【愛知】 | 日本珍スポット100景
記事によると、この公園を作られた山本さん親子のお父様の方(山本祐一さん)は既に亡くなり、息子さんの方(山本良吉さん)も2012年時点で90歳と、(ご存命としても)だいぶご高齢になっているようです。
他にもいろいろ見たところによると、貝がら公園は数年前の時点でかなり廃墟に近い状態になっていたのですが、一応3年ぐらい前に再整備しようという話もあり、地元の方々によって草刈りや植樹が行われたということでした。
・周辺整備(駐車場・友愛の森) - すべては豊浜のために
・貝がら公園ハイク&植樹 - すべては豊浜のために
個人的に気になるのは、貝がら公園の開園が昭和51年頃と言われているのに対し、風景印の使用開始が昭和47年とそれよりも早いことなんですけど、まあでも意匠のひょうたんはこの公園のひょうたんですよね。こんなものがいくつもあるとは思えないし。
というわけで、今月の上旬に現地を見てきました。(わたくしの今年最初の旅行が貝がら公園です)
前述の通り貝がら公園は山の上にあるのですが、まずその入り口が分からなかったので、豊浜局で場所を教えていただいてから行きました。(ありがとうございます)
↓入り口は、地図で言うとこの辺り(★)にあります。

一応、小さく「貝がら公園登り口」という表示が出ていました。まあまあ急な坂をのぼります。傾斜はきついのですが、坂道自体はそんなに長くないので10分弱でのぼれるかと思います。標高は80mほどだそうです。

途中にある、廃墟感のある公園。っていうか廃墟ですね…。(再整備とは?)

さらに行くと、道の両脇に貝殻を埋め込まれたコンクリ柱が次第に増えてきます。貝がら公園の入り口が「白山神社」で、その参道という設定のようです。柱に混じって石灯籠が出てきたら、石段の上に白山神社の鳥居が見えてきます。

鳥居にもやはり貝がらがたくさん埋め込まれています。その奥に社殿らしきものがあるのですが、扉が閉まっていて中の様子は分かりませんでした。

社殿の手前を右に進み、コンクリート&貝殻で作られたさまざまな構造物を抜けて、とにかく高い場所を目指していくと、一番高いところに船形の展望台があります。先人の記事を見る限りでは、かつては望遠鏡が設置されていたりして展望が楽しめたようなのですが、老朽化が進んだ現在では展望台全体が立ち入り禁止になっていました(ああ…)。


この展望台の向かって右手(北東)に進むと東屋の中にベンチとテーブルがあり(これも貝づくしだった)、また作者の顕彰碑(昭和56年建立)があったりして、その先に件のひょうたん型のオブジェがありました。これか~。

「貝塚」の右には「昭和四十一年七月七日」、左には「立てれば海は広く見ゆ」という文句が埋め込まれています。この「貝を埋め込んで記された超個性的な短文」というのが園内の随所にあって、この公園の独特な雰囲気を作り出していました。わたくしはこういうの結構怖いです。

この写真を撮ろうとして向かい側にあったベンチにのぼったら、その前にあったテーブルが大きな魚の形でした。大きいので高いところから見ないと形が分かりにくいのですが、分かると途端に怖い。この他、ひょうたんの向かい側には観音像なんかもありました。

この空間を抜けて少し降りていくと、もう一つ展望スペースがあります。大砲形のオブジェと、その先に見下ろす豊浜港。このビューは町誌にも掲載されており、比較的有名なものではないかと思います。大砲の存在意義や共に掲げられたテキストに関して思うところは尽きないのですが、公園全体の廃墟味が強いので、ここの開放感は唯一心が落ち着く感じがある。


ちなみに、ここまで述べてきたものをGoogleマップの航空地図で見ると、こんな配置になっています。(東屋の北側はやや不正確かもしれません。すみません)
一周してみてのわたくしの感想は、「ここで殺人鬼とかにばったり会いたくないなあ」でしたw。何か、そういう不穏な想像をかきたてる力があるというか。今回いつもより道順とかモノの位置関係とかを詳しく書いているのはそのせいだと思います。道に迷いたくないという気持ちの表れです(と、今読み返して気づきました)。

あとはまた神社に戻って坂を下ります。
これは藤棚か何かが作られてたスペースだと思うんですが、柱の一つ一つにマスコミや鉄道関係の会社名が刻まれていました(貝殻で)。これ、全部この会社たちが出資したってことなのかな。だとしたら、よくこれだけ集めたな~と感心してしまった。(これ以外にもたくさんあった)

公園全体を通してだいぶコンクリートが傷んでおり、埋めた貝も剥がれたりしていたのですが、今後これが完全に朽ちたとして、再び同じものを作るという方向には行かない気がします。ご覧になりたい方は早めに行っておくといいかもしれません。
最後におまけですが、古い南知多町誌に載っていた観光マップ。

(「南知多町誌」1981年6月1日発行 p.212)
↑よく見ると、貝がら公園のところに例のひょうたんらしきものが小さく描かれていました。
ファンシーなイラストがかわいい。(今回、心和む画像が少ないので…。)
このマップ、他にも周辺局の風景印に登場する要素がいくつか出てくるので(みかん狩りとか唐人お吉出生地とか羽豆岬のウバメガシとか)、そのへんを見ながら眺めてみてください。
お返事ありがとうございました。
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